研究成果

化学班の成果がGeochemica et Cosmochimica Actaに掲載されました

化学班の北台紀夫副主任研究員(海洋研究開発機構)らの研究チームは、一酸化炭素(CO)・元素状硫黄(S0)・硫化水素(HS)と混合する、という簡単な方法でアミノ酸の二量体化が促進できることを示しました。例えば、アミノ酸の一種であるグリシンを1 mmol L–1溶かした弱アルカリ性水溶液(pH 9.3)を上記3つの無機化合物と混合し、35℃或いは50℃で反応させた場合、最大18%のグリシンの2量体化が確認されました。2量体化はグリシンの初期濃度を0.01 mmol L–1にまで下げても進行しました(収率0.4%)。0.01 mmol L–1という濃度は、アミノ酸の重合挙動を調査した生命起源研究において世界最低記録になります。今回実証されたアミノ酸の2量体化に有利な反応条件は、初期の地球や火星に存在したであろうCO world環境下で十分起こりうる条件です。このため本成果は、CO worldは生命の発生に有利であったとする本領域の仮説を支持しています。

本研究成果は2023年4月3日にGeochemica et Cosmochimica Acta誌に掲載されました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0016703723001497

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