化学班は、COを起点として惑星環境中で成立する自己触媒ネットワーク(前駆代謝)を理論的に追究し、実験により実証する。まず、数理モデルから、自己触媒作用の発生に必要な反応ステップの組み合わせ候補と反応選択性の数値目標を導き出す。この設計に基づき、実験ではCOやその派生物を炭素源とした有機酸生成ルート、及びN2や硝酸を窒素源としたアミノ酸・ペプチド・核酸塩基の生成ルートを順次開拓する。また、アミノ酸/ペプチド-鉱物複合体触媒を開発し、反応選択性の向上に利用する。さらに、多段階ステップをカスケード式に駆動するフローリアクターを開発し、実験で開拓した素反応を連結することで、一連のシステムとして自己触媒ネットワークを実証する。生物班(A03)と連携し、始原的CO代謝についての情報提供を受けると共に、直ちに実現困難な反応ステップがあれば、合成生物学的手法で作り出す疑似酵素を用いる(トップダウン型アプローチ)。一方、ボトムアップ型アプローチとして、理論班(A01)・環境班(A02)が導き出すCO環境を模擬し、COを含む単純な無機物から、アミノ酸・核酸塩基などの生命のBuilding blocksが持続的に生じる惑星化学プロセスを実証する。
メンバー
北台 紀夫(代表) 海洋研究開発機構・超先鋭研究開発部門・副主任研究員
中村 龍平 東京工業大学・地球生命研究所・教授
山本 正浩 海洋研究開発機構・超先鋭研究開発部門・研究員
山口 晃 東京工業大学・地球生命研究所・助教
Yamei Li 東京工業大学・地球生命研究所・特任助教
大岡 英史 理化学研究所・環境資源科学研究センター・研究員
Eric Smith 東京工業大学・地球生命研究所・特任教授
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