研究成果

環境班の成果がNature Communicationsに掲載されました

本領域環境班の田口宏大大学院生(東京工業大学・博士後期課程2年)、アレキシー・ジルベルト准教授(東京工業大学)、上野雄一郎教授(東京工業大学)らの研究チームは、エタン(C2H6)ガスの中に炭素の同位体のうち13Cを2つ含む分子(13C2H6)がどれだけ存在するのか(13C-13C二重置換度)を精密に決定する分析法を開発した。その結果、実験室で無機的に合成したエタンは生物由来のエタノールや天然ガスに比べて13C2H6の存在度が明瞭に低いことを明らかにした。

天然ガスは主に、過去に死んだ生物が地中に埋没し、地下の熱で分解されることで生成するが、中には無機的に生成される天然ガスも存在すると考えられている。この両者を区別するために、炭素・水素の安定同位体分析が用いられてきたが、明確な判別には至っていない。その中で、本研究では、生物の細胞内で酵素によって合成される有機分子は、無機的に合成するよりも13C-13Cの結合が多く形成されることを示すことに成功した。今回見出された手法を応用すれば、天然ガスの起源をより確実に判別できる。さらに将来、地球外の天体にみつかる簡単な有機分子を分析することで、生命の痕跡があるかどうかを判別することが可能になると期待される。

本研究成果は、10月2日付の「Nature Communications」電子版に掲載された。

Taguchi, K., Gilbert, A., Sherwood Lollar, B., Giunta, T., Boreham, C.J., Liu, Q., Horita, J., Ueno, Y., 2022. Low 13C-13C abundances in abiotic ethane. Nature Communications 13. DOI:10.1038/s41467-022-33538-9

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